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これはわたしが高校生になってからの話
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高校1年生、高校は公立の自称進学校。一応独自入試だったけど、そこまでって感じの、微妙な位置。
頭もそこそこ。良くも悪くも無く、平凡な人間。
それがわたしだ。
でも、高校1年生の生活は本当に楽しかった。
要するに高校デビューってやつだ。
クラスの派手目な子たちとつるんで、いつも騒いでいた。
高校デビューになぜ至ったか。
それは、高校が中学とは全く違ったからだ。
この高校は、わたしの元あった概念を大きく覆してきた。
その大きな理由として、それなりにみんな頭がよかった。
一応進学校だし、それなりのレベルの人達が集まってると、それなりに人間性が優れてる人も多い。
中学のジャングル感があまり無い。
それが、ただただ幸せだった。
殴られない日々があるものだと初めて知った。
死ねって誰からも言われない世界なんて、初めて知った。
自分の持ち物が、他人に汚されたり壊されたりしない、平等に扱ってくれる、そんな世界があることを、それまでのわたしは知らなかった。
高校に入って初めて、自分は狂っていたんだなと思った。
わたしは常に玩具だった。
殴られれば喜んでくれる。
惨めだと笑ってくれる。
わたしは別にイジメとか、そんな風に感じた事はなかった。
人の玩具であること、それが自分の生きる意味だと思っていた。
ドMと言われれば、まあそうかもしれない。
殴られるのが心地よかったのかもしれない。
それが生きる意味になるのなら。
それで喜んでくれる人がいるなら。
でもわたしの高校はそういうことが一切無かった。
最初は不安だった。なぜわたしに死ねと言わないのか……
でも徐々に普通の幸せを実感するようになってきて、本来の幸せを知る事が出来るようになった。
自分自身にナイフを向けたりする事も、高校に入って極端に減った。
わたしの高校1年生は、そんな幸せな日々だった。