生命の重さ

 

 

わたしの生命の重さは果たしてどれくらいか。

その重さを決めるのはわたしだと思ってた。

今の今までは。

 

 

先日、特別何か大きな出来事があった訳ではないんだけども、仕事の忙しさや日頃のストレスが爆発して死のうと思った。

たまたまその時は心は限界だったけど身体は元気で、"あっこれ今なら死ねるかもしれない"って本気で思えた瞬間だった。

 

わたしが死のうとするのなんて1年に1回くらいのペースである事だから特段珍しい事でもないのだけど、まぁ割と今回は本気だった。

 

死体で発見されても恥ずかしくないように部屋を片付け、ペットにちょっと多めのご飯あげて、家にあった残りの向精神薬とブロン1瓶、プラスに市販の頭痛薬をお酒で全部飲んだ。

ODも初じゃないけど回数を重ねる毎に量と種類が増えてく。流石に今回こそはって思えた。

 

いつもはODしたらそのまま昏睡状態に陥って1日近く眠るのだけど、今回は違った。

吐き気がして朝目が覚めた。覚めた時には、"あっまた失敗した"の感情が第一。その他は何も考えられないままトイレダッシュ。

数年ぶりに吐いた。過食症でありながらも嘔吐恐怖症患ってて何をしても吐けなかったのにあっさり吐いた。

次に出た感情は幸福感に近いものだった。

 

吐ききった後、頭はクラクラするものの割と普通だった。

その次の感情は、"あっこれ今日仕事行けちゃうな"だった。

なんかその時は向精神薬の効果からかあんまり絶望感とか苦しさとかなくて、単純に身体動くし仕事行かなきゃって感じだった。

そして平然と通勤時間に電車に乗った。

電車の中でまた吐き気がして途中駅で降りてまたもやトイレダッシュ。

2度目の嘔吐。これ痩せるなってめっちゃテンション上がった。

流石にこれじゃあ仕事中に吐くかもなと思って休みの電話を職場に入れた。

その日は1日部屋で過ごしたけどそれ以降吐き気がすることは無かったし、体調もそんなに悪くはなかった。

 

翌日、何食わぬ顔で普通に出勤。

体調不良で休んだ為皆に謝罪のひと言だけ言って普通に働いた。

でも、心が追いついていなかった。

これ、このままじゃ、来年も同じ事を繰り返すのだろうな。

仕事しているのは何のためだ?生きる為?死のうとしたのに?死にたいのに?じゃあなんで働く?

ここにいる人達はわたしが死のうとした事など微塵も知らない。昨日はただの体調不良で休んでる。

知って欲しいっていうのも何か違う気がするけど、心が物凄くモヤモヤした。

でも仕事は相変わらず忙しいしみんなそれぞれ大変だし相談なんてできっこない。

結果、休憩時間に職場の相談窓口に電話をした。よく知ってるお姉さんが出た。

泣きながら死ぬ事に失敗したと話して、それを深く受け止めてくれたお姉さんは職場の責任者と話す時間を儲ける事を提案してくれた。

わたしもそうするべきだと思ったし、お願いした。その日はもう帰る?って聞かれたけど前日休んでたし翌日も休日だったので申し訳なくて普通に働いた。

 

その翌日。休日。派遣元から1本の電話が。

この前休んだみたいだけどどうしたの?と。

わたしは派遣社員なので休みの日は勤務先に加え派遣元にも連絡を入れないといけないらしいのだか正直今まで知らなかったし入れたこと無かった。

恐らく責任者が変わって今の責任者の人がたまたま派遣元にもちゃんと連絡入れてくれる人だったから派遣元から連絡が来たのだろう。

その時、普通に体調不良でって言えばよかったんだろうな。何故かわたし全部話しちゃったんだ。

聞いて欲しかったのか。Theメンヘラかよ。。。

派遣元の人は非常に驚いていて、沈黙の後発した言葉は、

「そんな言葉を聞いた後に、じゃあ明日からもよろしくねなんて俺の口からは言えない」と。

翌日、仕事は休みになって話し合いになった。

 

次の日。話し合いの日。

呼び出されて担当の人とカフェに向かい、告げられた言葉は、

「勤務先の責任者の方とお話して、本日付で退職の方向に話がまとまりました」と。

流石に驚いた。そんなつもりはなかった。

確かに仕事は辞めたいなって思ってたし9月末で辞める予定で話はしてたけど、まさか本日付って、挨拶も出来ないままに?

ただ、理由を聞いたら

"君の勤務先の責任者の人と話し合った。

その方もこの話を非常に重く受け止めていた。

流石に死のうとしたまだ若い女の子をそのまま働かせるなんて出来ない。

仕事はあくまで生きるための手段であって、それは命より大切なものでは無い。身体が最優先だ。

もしこのまま、例えば月末まで働くとして、きっと事情を知った責任者は君を気遣うだろう。

そしてきっと君はそれを申し訳なく思うだろう。

それって辛いでしょう。そんな状態で働いていられないと俺は思う。"と。

図星だ。納得たる理由だ。優しさ故の結果。

勤務先の責任者も、目の前にいる担当さんも、派遣元会社も、派遣先の会社も、みんながみんな、仕事よりわたしの命を最優先してくれている。。。

 

わたしは、わたしの命を軽く見ていた。

辛かったら死ぬ、生きるのが嫌なら死ねばいい。その程度に生きてた。

だからこそ生きていけてた。最悪死ねばいいのポリシーの元、生きていけてた。

 

この人達は、この会社は、わたしよりわたしの命を重く思ってくれている。

 

仕事が大変な時期だというのに、わたしの事を一番優先してくれている。

 

即日退社は社会人として非常識であると思うし上層部の方々の手間や現場のシフトの急な調整とか考えると心が痛む。

わたしが、わたしの命を軽く見たせいで、こうなった。

 

わたしは、この事実を重く受け止めなくてはいけない。

わたしは、わたしの命の重さを知り、そして生きていかねばならない。

生きてくって重いんだな。死ぬって重いんだな。

周りの人の優しさで、わたしは初めて気づけた。

 

そしてその翌日。まさに今日。荷物を引き取りに行くのと同時に、ご挨拶に職場に向かった。

現場のスタッフの殆どがわたしが退職する事を知らなかった。

わたしの口から告げないといけなかった。

退職する旨とお礼と謝罪だけ軽くして、後の話は流石に勤務時間に話すのは良くないなと思って、きちんとお話してお礼を言いたいスタッフは個別で連絡を取って会う事にした。

 

即日退社なんて非常識だってのに、それで怒る人などいなかったのだ。

 

わたしは、この仕事が辛かった。業務が辛かった。しんどかった。

でも、人は、みんな、とてもとても優しくて、チームワークってものを知れたし、わたしをチームの仲間に入れてくれたし、わたしは、この職場の人が本当に本当に大好きだった。みんな大好きだった。

沢山飲みにも行った。沢山相談もした。下の名前で呼んでくれたり、実力やわたしの性格までとても理解してくれた。本来仕事上だけの関係だってのに。

1年と9ヶ月。わたしにとっては長かったよ。

こんなにいい環境の職場なんて正直ないだろうと思うくらい、大好きだった。

わたしを目的に、会いに来てくれるお客様もいた。その方に何も言えないまま居なくなるってのも辛いな。

 

あぁ、わたしは、ずっと思ってはいたんだけど、改めて本当に本当に人に恵まれている。

なのに、死にたいとか、現実が嫌だとか、言ってられないじゃん。そんなの、わたしを好きでいてくれてる人がいるのに、もう言ってられないじゃん、、、

 

こんなわたしなのに、必要としてくれた。

好きでいてくれた。

それをちゃんと、今日、実感できた。

ありがとう、そして、本当にごめんなさい。

 

わたしは1週間の休みを貰う後に、リハビリとして接客を離れた単純作業の仕事に就くことになった。

これもわたしの今の状況色々踏まえて出してくれた、最適策。

 

もう感謝してもしきれないでしょう。

 

こんな素敵な場所で生きてて、生かしてもらっていて、死にたいなんて、言えない、もう言えない。

 

感謝と、後悔と、その全てを踏まえて、わたしはもう、生きていくしかないの。

 

 

多分、直接人と話すの苦手だから上手く言えないと思うけど、この感謝を、わたしはちゃんと、直接伝えたい。

きっとすごく泣いちゃうけど、絶対に自分の口から伝えたい。

職場のお世話になった人達1人1人に、きちんと向き合って。話したい。話さなきゃ。

 

新しい人生の1歩を踏み出す前に。

 

 

2020.06.19