⑥
それから数日、お母さんの出すヘルシーメニューを頑張って食べた。
当時、1日500kcalの基準を定めていた自分にとってはかなり辛かった。
体重が増えてるかどうか気になって気になって仕方なかった。
その生活は1週間も持たなかった。
1週間後あたり。
耐えられなくなったわたしは、こっそりお小遣いで体重計を買った。
部屋で1人バレずに毎日体重を測った。
それからというもの、お母さんのメニューだと体重が増えてしまう…!と思い、お母さんに隠れて弁当を捨てたり、食べたフリをしたり、必死に体重を落とし続けた。
お母さんも流石に食べないことは気づいていて、かなり心配はしていたけど、わたしにはもう普通に食べるって事はできなくなっていた。
むしろ心配されることが快感になっていたのかもしれない。
35kgを早く切りたかった。
入院が少し楽しみになっていたほど。
病院で入院を決める日の前日の夜、体重は34kgだった。
心の中では、とても喜んでいた。
病院の日、先生の前で体重測定。
前日は脱いで測ったけど、先生の前は普通に服を着るので、図ったら35kgぴったりほどだった。
お母さんも先生も、体重計没収したのになんで減ってるの!?な反応だった。
入院決定かと思いきや、先生の反応は意外なものだった。
「もう少し様子みましょうか。」
は?って感じだった。
入院は?入院食で外出れないならゆっくり普通に戻れると思ったのに?
そのために痩せたのに???
頭が混乱していた。
その日から先生とお母さんで話し合って1日1200kcalメニューになった。
わたしも吹っ切れたのか、ちゃんと食べた。
1200kcalなら太らないと言われたから、仕方なく食べた。
代わりに急に増やすのも良くないから1200kcalをあまり超えないようにとも言われた。
しかし、それなりにちゃんと食べると、もっと食べたい欲が出てくるもので……
それからお母さんの厳密なカロリー計算とは裏腹に、わたしはお母さんに隠れて食べる事を覚えた。