それから数日、お母さんの出すヘルシーメニューを頑張って食べた。

当時、1日500kcalの基準を定めていた自分にとってはかなり辛かった。

体重が増えてるかどうか気になって気になって仕方なかった。


その生活は1週間も持たなかった。


1週間後あたり。

耐えられなくなったわたしは、こっそりお小遣いで体重計を買った。

部屋で1人バレずに毎日体重を測った。


それからというもの、お母さんのメニューだと体重が増えてしまう…!と思い、お母さんに隠れて弁当を捨てたり、食べたフリをしたり、必死に体重を落とし続けた。


お母さんも流石に食べないことは気づいていて、かなり心配はしていたけど、わたしにはもう普通に食べるって事はできなくなっていた。


むしろ心配されることが快感になっていたのかもしれない。


35kgを早く切りたかった。

入院が少し楽しみになっていたほど。


病院で入院を決める日の前日の夜、体重は34kgだった。

心の中では、とても喜んでいた。


病院の日、先生の前で体重測定。

前日は脱いで測ったけど、先生の前は普通に服を着るので、図ったら35kgぴったりほどだった。


お母さんも先生も、体重計没収したのになんで減ってるの!?な反応だった。


入院決定かと思いきや、先生の反応は意外なものだった。

「もう少し様子みましょうか。」


は?って感じだった。

入院は?入院食で外出れないならゆっくり普通に戻れると思ったのに?

そのために痩せたのに???

頭が混乱していた。


その日から先生とお母さんで話し合って1日1200kcalメニューになった。

わたしも吹っ切れたのか、ちゃんと食べた。

1200kcalなら太らないと言われたから、仕方なく食べた。

代わりに急に増やすのも良くないから1200kcalをあまり超えないようにとも言われた。


しかし、それなりにちゃんと食べると、もっと食べたい欲が出てくるもので……


それからお母さんの厳密なカロリー計算とは裏腹に、わたしはお母さんに隠れて食べる事を覚えた。